「歯周病が進行すると、糖尿病や心筋梗塞などの症状も悪化する」。この事は以前、お話させていただきました。お口の中の病気は、お口の中だけに止まらず、全身的な病気とも大きく関係しています。一昔前には、これらの事は、分からなかったことなので、まさに日進月歩です。
そして、今回最新の報告がされましたのでお知らせします。それは、「がん治療前、治療中、治療後の期間に歯科医師等による専門的なお口の中のケアーを行う事で、治療に伴う合併症、副作用減少.入院期間の短縮ができる」と言うことです。出来るだけ分かりやすく解説してみます
がん治療法の中でも、お口に最も影響を及ぼすのが、抗がん剤治療、頭頸部がんの放射線治療です。抗がん剤や放射線は、がん細胞だけでなく同時にがん細胞のまわりの、正常な細胞も攻撃してしまいます。このため、治療が始まると、副作用で強い口内炎や、味覚障害を起こす場合があります。また、唾液減少と体力低下によりむし歯や歯周病が、一気に進行してしまうと言うことも少なくありません。
お口の中の細菌が肺に入ることで肺炎を発症したり、唾液とともに飲み込んだ細菌が手術した部位に感染する可能性もあります。お口の中のトラブルが原因で、がん治療を一時的にストップすることやトラブルに対する治療のため入院期間の延長の可能性も生じてしまいます。
こうしたトラブルを防ぐため、平成24年度改定のがん対策推進基本計画では、「各種がん治療の副作用.合併症の予防や軽減など、患者の更なる生活の質の向上を目指し、医科歯科連帯による口腔ケアーの推進」がもりこまれました。今回は、少し難しい話になってしまいました。
がん治療前には、かかりつけ歯科医でむし歯や歯周病の治療を受けることが大切と言えます。