理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの小保方晴子ユニットリーダー(30歳)らが「ips細胞」のように、さまざまな細胞に変化できる新たな「万能細胞」を、簡単な手法で作成することに成功したと発表しました。
英科学誌ネイチャーでは「Acid bath offers easy path to stem cells」のタイトルで大きく紹介されています(もし、英文でよければ手元にコピーがあるのでおっしゃってください)。
ノーベル賞を受賞した山中伸也京都大教授が平成18年に開発した人工多能性幹細胞「ips細胞」は記憶に新しいところです。以前、このブログでも取り上げました。どちらも大変素晴らしい発見ですが、今回発表された「STAP細胞」の特徴を「ips細胞」となるべく解りやすく比較してみたいと思います。ips細胞は、人の皮膚などの細胞を遺伝子操作することでつくられますが、STAP細胞は、マススのリンパ球などを弱い酸性の溶液に漬けて、外的な刺激を与えることで作られます。
作製期間は、ips細胞が「2~3週間」に対し、STAP細胞は「最短で2日程度」と短期間で作成でき、またips細胞は、遺伝子操作にともなって、がん細胞になる可能性が残るが、STAP細胞は、外的な刺激を与えるだけなので、がん細胞になる可能性が低いとされています。(つまり、ips細胞では、受精卵に近い状態にリセットする「初期化」が必要なのに対し、STAP細胞ではその必要がないため短期間で作成可能となります)。
ips細胞の再生医療では、加齢黄斑変性という目の病気治療を目指し、昨年から臨床研究が始められ、今夏にも世界初の人への移植が実現します。一方、アメリカ等の海外ではES細胞の臨床応用が進んでいますが、他人由来の細胞を移植するため、倫理上の問題に加え、拒絶反応を抑える薬の開発が進められています。
「STAP]細胞は、大発見ですが現時点ではマウス実験のみで、人の細胞では作られていないため、直ちに実用化できる段階ではありませんが、将来の再生医療への応用につながる細胞になって欲しいと思いました。
その時には、たぶん生きていないかも知れませんが・・・?。