伊那市 院長ブログ 小野歯科医院 長野インプラントセンター

 一般工業分野における、CAD/CAM 。(ComputerAidedDesign/Computer Aided Manufacturing)技術の発展・進歩は目覚ましく、ハイテクノロジーとして、航空宇宙分野・自動車分野などにおいて設計および制作技術にさまざまな変化をもたらしてきている。
歯科における、CAD/CAM技術は、他の工業分野と比較してその成長は遅く、旧態依然とした状態が続いてきていた。近年、かぶせものに金属ではなく、高強度、高靱性があるため加工が難しかった、ジルコニアという材料をCAD/CAM技術で製作できるようになり、一部は保険適用(かなり制限はありますが)になった。以前は、適合に不安があったCAD/CAM技術が急速に進歩し、改善されたことが非常に大きい。このことで、材料も含めたかぶせものの治療方法が今後世界で大きく変わろうとしています。
一方、歯科用CAD/CAM技術を応用したデンチャー(入れ歯)については、専用のCADソフトがないこと、加工用ブロックが流通していないことなどから、実用化には至っていません。しかし、これまで避けることがでかなかったレジンの重合府歪みの問題を解決できるだけでなく、ソフトが開発されることで、模型と高さを決めるデーターを入力することで、入れ歯の設計を簡単にコンピューターでできるというパラダイムシフトをもたらそうとしています。

<光学印象の進歩とCTデーターとの照合による入れ歯作成>
今現在、入れ歯を作製する場合、直接患者さんの顎の状態を型取り器を用いて印象をとらなくてはなりません。しかし、この光学印象の分野での研究がもっと進むことにより、直接お口の中で型をとらなくても、顎の形態や高さ、幅の解析が可能となり、これに患者さんのCTデーターを組み合わせることによって、入れ歯が出来る時代が将来実現するかも知れません。お口の中で型をとるのは、想像以上に患者さんにとって負担が大きく、特に高齢者にとっては、呼吸が苦しく快適なものとは言えません。将来、本当にあくまで将来ですが、光学印象の研究と開発が進歩し、これを臨床と組み合わせシステム化し、日本から世界に向けて発信されていくことを願っています。